エコキュートとは?仕組み・特徴・メリットデメリットを専門店が解説!

落合 祐太
第二種電気工事士/液化石油ガス設備士/ガス機器設置スペシャリスト 落合 祐太

エコキュート施工歴8年。

メーカー認定代行店として、給湯器・エコキュートの設置や修理に多数携わる。

電気・ガス両方の専門知識を活かし、正確でわかりやすい情報発信を行っています。

監修者
長谷川 きよみ

エコキュート・ガス給湯器専門ライター

長谷川 きよみ

エコキュート専門店スタッフ。住宅設備に関する幅広い知識を持つ。
自宅に設置したエコキュートの実際の使い心地をふまえた、分かりやすい情報をお届けします。
2児の母として、家庭で使いやすい設備選びや、日々の暮らしや家計に寄り添った発信を心がけています。

執筆者

こんにちは。エコキュート・省エネ住宅設備専門店Cools(クールス)です。

給湯器の交換時期が近づいてきたり、電気代やガス代が気になり始めたりすると、
「エコキュートってよく聞くけど、実際どうなんだろう?」と感じる方は多いのではないでしょうか。

エコキュートには光熱費を抑えやすいなどのメリットがありますが、仕組みや使い方をよく知らないまま選んでしまうと、「思っていたのと違った…」と感じてしまうこともある給湯器です。

この記事では、エコキュートの基本や仕組み、メリット・デメリットを専門店スタッフがわかりやすく解説していきます。

この記事でわかること
  • エコキュートとは何か、ガス給湯器との違いや基本の仕組み
  • エコキュートのメリット・デメリットと、後悔しやすいポイント
  • 自分の家や家族構成にエコキュートが合うかどうかの判断目安

\ エコキュート導入費用の負担を減らせます /

目次

エコキュートとは?|どんな給湯器なのか

画像出典:三菱電気│はじめてのエコキュート


エコキュートとは、空気の熱を利用してお湯をつくる「ヒートポンプ式給湯器」です。

電気を使いますが、電気ポットのように電気ヒーターで直接水を温める給湯器ではありません。

これまで一般的だったガス給湯器や電気温水器とは、お湯のつくり方そのものが異なる点が、エコキュートの大きな特徴です。

空気の熱を使ってお湯をつくる給湯器

エコキュートは、外の空気に含まれる熱を集めて、その熱を利用してお湯をつくります。

少ない電気で大きな熱を生み出せるため、同じ量のお湯をつくる場合でも、消費するエネルギーを抑えやすい仕組みです。

このため、従来の電気温水器と比べて電気代がかかりにくく、ガス給湯器と比べても給湯にかかる光熱費を抑えられるケースが多く見られます。

つくったお湯を貯めて使う「貯湯式」

エコキュートは、あらかじめお湯をつくってタンクに貯めておき、そのお湯を一日かけて使う「貯湯式」の給湯器です。

夜間など電気料金が安い時間帯にまとめてお湯を沸かし、 日中や入浴時には、タンク内のお湯を使います。

そのため、 「使うときにその場でお湯を沸かす」ガス給湯器とは考え方が異なり、タンク容量や家族の生活リズムに合わせた選び方が重要になります。

また、タンクに貯められたお湯は災害時などの万が一の時に、非常用水としても使用することができるため、防災の観点からも注目されています。

エコキュートの仕組み|なぜ電気代を抑えやすいのか

エコキュートは「電気でお湯をつくる給湯器」ですが、 電気をそのまま熱に変えて水を温めているわけではありません。

 電気の使い方そのものが、従来の給湯器とは大きく異なります。


空気の熱を活用するヒートポンプ方式

画像出典:三菱電気│はじめてのエコキュート

エコキュートは、エアコンと同じ「ヒートポンプ」という仕組みで動いています。

具体的には、次のような流れでお湯をつくります。

  • 外の空気から熱を集める
  • 集めた熱を圧縮して高温にする
  • その熱で水を温める

このとき電気は水を直接温めるためではなく、 空気中の熱を集めて移動させるために使われます。

そのため、使った電力量以上の熱エネルギーを得ることができ、少ない電気で効率よくお湯をつくれるのが特徴です。

これが、エコキュートが省エネ給湯器といわれる理由です。

電気をたくさん使わずにお湯を沸かせる理由

従来の電気温水器は、電気ヒーターで直接水を温めていました。

そのため、お湯をつくる分だけ電気を使い、電気代が高くなりがちでした。

一方、エコキュートは空気の熱を利用するため、 同じ量のお湯をつくる場合でも、消費電力を大きく抑えられます。

この「電気の使い方の違い」が、 電気代に差が出る大きなポイントです!


貯湯式だから深夜電力を活かせる

エコキュートは、あらかじめお湯をつくってタンクに貯めておく「貯湯式」の給湯器です。

  • 電気料金が安い夜間にまとめてお湯を沸かす
  • 昼間や入浴時はタンク内のお湯を使う

この運転方法によって、電気代が抑えやすくなります。

ただし、注意しておきたいポイントとして、エコキュートは 「使いたいときにその場でお湯を沸かす」給湯器ではありません。

タンク内のお湯を使い切ると、再度沸くまで時間がかかります

そのため、家族人数や入浴時間に合ったタンク容量や設定を選ぶことが、 エコキュートを快適に使うための大事な要素になります。

エコキュートの特徴|他の給湯器との違い

ガス給湯器との違い

ガス給湯器は、蛇口をひねった瞬間に必要な分だけお湯を沸かす「瞬間式」の給湯器です。

使った分だけその都度ガスを燃焼させるため、お湯切れの心配がほとんどなく、来客や連続入浴があっても対応しやすいのが特徴です。

一方、エコキュートは「貯湯式」の給湯器です。

あらかじめ決められた時間帯にまとめてお湯をつくり、タンクに貯めたお湯を使う前提で設計されています。

エコキュートガス給湯器
給湯方式貯湯式瞬間式
主なエネルギー電気+空気熱ガス
お湯切れ可能性あり基本なし
光熱費抑えやすい使用量次第


また、エネルギーの使い方にも大きな違いがあります。

ガス給湯器は使うたびにガスを燃焼させるため、使用量が増えるほどガス代が上がりやすい仕組みです。

一方、エコキュートは電気代が安い時間帯にまとめてお湯をつくるため、

使い方が合えば、給湯にかかる光熱費を抑えやすくなります。

電気温水器との違い

電気温水器は、タンク内の水を電気ヒーターで直接加熱してお湯をつくる給湯器です。

電気ポットを大きくしたような仕組みと考えると、イメージしやすいかもしれません。

構造がシンプルな反面、お湯を沸かすためにそのまま電気を熱に変えるため、使った分だけ電力を消費し、消費電力が大きくなりやすいという特徴があります。

その結果として、次のような傾向が見られます。

  • お湯の使用量が多いほど電気代が上がりやすい
  • 電力契約によっては基本料金が高くなる
  • 長期間使うほど光熱費の差が出やすい

一方、エコキュートも同じ「電気給湯器」ですが、仕組みは電気温水器とはまったく異なります。

エコキュートは、空気中の熱を利用するヒートポンプ方式を採用しており、電気は水を直接温めるためではなく、熱を集めて移動させるために使われます。

この違いによって、以下のようなメリットがあります。

  • 少ない電気で多くのお湯をつくれる
  • 給湯にかかる電気代を抑えやすい
  • 国が定めたの省エネ基準要件を満たせば、補助金で費用の一部をまかなえる

実際、現在は新規設置や交換の場面で、電気温水器からエコキュートへ切り替える家庭が増えています。

電気給湯器を使い続けたいけれど、電気代はできるだけ抑えたい」という方にとって、エコキュートは特におすすめの選択肢です。

エコキュートのメリット

給湯にかかる光熱費を抑えやすい

エコキュートの最大のメリットは、毎月の給湯にかかる光熱費を抑えやすいことです。

実際に設置されたお客様から使用感についてのお話を伺ってみると、「お風呂やシャワーの使用量が多い家庭ほど差が出やすい」という傾向があります。

エコキュートは、

  • 電気料金が安い夜間にまとめてお湯を沸かす
  • 空気の熱を利用し、少ない電力でお湯をつくる

という仕組みのため、 ガス給湯器や電気温水器と比べて、給湯にかかる光熱費が下がるケースが多く見られます。

特に、4人以上でお住まいの家族や、朝と夜でシャワーを使う回数が多いご家庭では、導入後に「思ったより電気代が上がらなかった」「ガス代がなくなって家計管理が楽になった」といった声をいただくことがあります。

補助金を活用することで、初期費用の負担を抑えられる

国は、家庭で使われるエネルギー消費を抑えることを目的に、家庭のエネルギーの中でも特に大きな割合を占める「給湯」に対して、少ないエネルギーで多くのお湯をつくれる機器を導入した際に受け取れる補助金制度を用意しています。

2026年度も補助金制度の継続が決まっていて、補助金を活用することで、

  • 本体価格や工事費の負担を軽減できる
  • ワンランク上の性能モデルを選びやすくなる

といったメリットがあります。

お客様の中には、「補助金があるなら、長く使える高効率タイプにしたい」 という理由で、上位グレードを選ばれる方も少なくありません。

ただし、補助額や条件は年度や時期によって変わるため、 「いつ交換するか」「どの機種を選ぶか」によって受け取れる金額が異なります。

 導入前に、対象機種や申請条件を確認しておくことが重要です。

\ エコキュート導入費用の負担を減らせます /


災害時の備えとしても安心感がある

エコキュートは、貯湯タンクに常に数百リットルのお湯(水)をためているため、断水時に生活用水としても使うことができます。

実際に災害時が起こってしまった場合、以下の用途で役立てることができます。

  • トイレを流す
  • 手や体を拭く
  • 簡単な洗い物をする

万が一の備えとしてあると安心できる設備でもあります。

エコキュート専門ライターきよみ

衛生面からそのまま飲料水として使うものではありませんが、「何も使えない状態」と比べると、生活の不安を減らせる存在になります!

エコキュートのデメリット・注意点

初期費用が高め

エコキュートは、設置時に 本体価格(貯湯タンク+ヒートポンプユニット)+専用工事 が必要になります。

従来のガス給湯器よりも設備点数が多く、初期費用が高くなりやすい理由です。

また、お住まいの環境によっては、電気配線の調整・基礎工事や搬入経路の確保・既存給湯器の撤去作業
といった工事内容が加わるケースもございます。

ただし、初期費用に目が行ってしまいがちですが、エコキュートへの交換には補助金を活用できるケースが多く、光熱費も抑えやすいため、 「導入時の金額」だけでなく、補助金や将来のランニングコストを含めた総額で判断することも大切です。

「数年使ってみて、トータルでは負担が軽くなった」 という声が多く聞かれるのも実情です。

お湯切れの可能性がある

エコキュートは貯湯式のため、あらかじめタンクにためたお湯を使い切ると、お湯切れが起こることがあります。

特に注意が必要なのは、こんなパターン。

  • 家族人数に対してタンク容量が小さい場合
  • 普段よりも来客が多い日
  • シャワー・お風呂・洗い物を短時間に集中して使った場合

この点は、機器そのものより「容量選び」がとっても重要になります。


そのため、弊社でご案内する際には、家族構成や入浴時間帯、冬場の使用量などを確認したうえで、少し余裕のある容量提案を行うことが多いです。

容量不足は後から調整しづらいため、後悔しやすいポイントの一つといえます。

設置スペースと運転音

エコキュートは、貯湯タンク+ヒートポンプユニットの2つを屋外に設置するため、ある程度の設置スペースが必要です。

また、ヒートポンプはお湯をつくる際にファンが回るため、完全な無音ではありません。

最近の機種は静音設計が進んでいますが、隣家との距離が近い・寝室や隣家の窓付近に設置するといった場合は、設置位置の配慮が必要になります。

エコキュートの設置に必要なスペース一覧(目安)

設置サイズ目安必要な余白・注意点
貯湯タンク幅:60〜70cm奥行:70〜80cm高さ:180〜200cm・点検・メンテナンス用の余白が必要・配管接続のため背面・側面に数cm〜10cm程度の空きが必要
ヒートポンプユニット幅:80〜90cm奥行:30〜40cm高さ:60〜70cm・前面(吹き出し側)に50cm〜1m程度の空間が必要・隣家や塀との距離、風向きに配慮
全体の設置スペース感畳約1枚分(約1.5㎡)前後・並列設置が一般的・薄型・省スペースモデルなら狭小地でも対応可能

最近では、都市部などの狭小地向けの薄型やスリム型、薄型のおひさまエコキュートも登場するなど、設置できる機種の選択肢も増えてきておりますので、スペースの問題で諦めていた方も、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

エコキュート専門ライターきよみ

エコキュートを選ぶ際には、特に「初期費用」「容量選び」「設置環境」この3点の確認が重要になります。ご検討時には、価格だけでなく、使い方まで含めた説明内容も判断材料にすると安心ですよ。

エコキュートが向いている家庭


給湯器は、性能が高い=満足できるとは限りません。

「性能で選んだけど、生活に合わなかった」という失敗を避けるためには、スペックよりも生活スタイルとの相性を重視して選ぶことが大切です。

生活スタイル・条件向いている理由
3~4人以上の家族お湯の使用量が多く、貯湯式のメリットを活かしやすい
夜間にお湯を多く使う深夜電力で沸かしたお湯を無駄なく使える
お風呂・シャワーを毎日使う毎日の給湯量が安定しており、効率が下がりにくい
オール電化住宅電気契約と相性がよく、光熱費を一本化できる
太陽光発電と併用したい昼間の余剰電力を活用できる機種・運用も可能
長く住む予定の持ち家初期費用をランニングコストで回収しやすい

慎重に検討したい家庭

生活スタイル・条件注意点
単身・二人暮らしお湯を使い切れず、貯めたお湯を余らせやすい
設置スペースが限られているタンク・ヒートポンプ両方の設置が難しい場合がある
仮住まい・短期居住予定初期費用を回収しきれない可能性がある

家族人数やお湯の使い方、設置環境を含めて確認したうえで、本当に自宅に合う給湯器かどうかを見極めてから選ぶことがおすすめです。

よくある質問

エコキュートの電気代は本当に安くなりますか?

エコキュートは、使い方や契約プランが合っていれば電気代を抑えやすい給湯器です。

夜間の安い電気を使ってお湯をまとめてつくるため、ガス給湯器と比べて給湯にかかる光熱費が下がるケースが多く見られます。

エコキュートはガス併用住宅でも使えますか?

使えます。
エコキュートはオール電化専用ではなく、ガス併用住宅でも設置可能です。

「給湯だけをエコキュートに切り替えたい」という相談も多く、既存のガスコンロをそのまま使うケースも多いです。

エコキュートはお湯が出るまで時間がかかりますか?

通常使用では、蛇口をひねってからお湯が出るまでの体感差はほとんどありません

すでにタンク内にお湯が貯まっているため、ガス給湯器と同じ感覚で使えます。

ただし、お湯切れを起こした場合は、再度お湯が沸くまで時間がかかる点が、瞬間式との違いです。

エコキュートの寿命はどれくらいですか?

一般的な目安は、10〜15年程度です。

ヒートポンプユニット、貯湯タンク、電子部品それぞれに寿命があり、使用状況や設置環境によって差が出ます。

10年を超えると修理費が高額になることもあり、交換を検討するタイミングになります。

エコキュートは寒冷地でも使えますか?

冬場の外気温がマイナス10℃を下回る地域にお住いの方は、寒冷地仕様の機種を選ぶ必要があります

標準仕様のエコキュートを寒冷地に設置すると、凍結による故障や沸き上げ効率の低下 といったトラブルにつながる可能性があります。

そのため、エコキュートを設置する際には、必ずその地域に合った仕様選びが重要です。

エコキュート施工課/落合祐太

ちなみに、ご希望の方や冬場の凍結が心配な方は、一般地でも寒冷地タイプのエコキュートを設置することも可能です!

マンションでもエコキュートは設置できますか?

はい。マンションでも設置可能です。

ただし、事前に管理組合やオーナー様への許可が必要で、機種や設置スペースなど、決められた条件や成約に従う必要があります。

マンションでの設置を検討する際には、他にも施工事例があるか、業者の方で事前確認を行ってもらえるかなども業者選びの判断基準に加えると安心です。

エコキュートのメーカーによる違いはありますか?

基本的な仕組みは同じですが、メーカーごとに構造や機能など、それぞれ異なる特徴があります。

素人視点ではわからない要素も多いため、機種選びに迷った際には、ぜひプロからの意見も参考にしてみてください。

まとめ│エコキュートの仕組みを解説しました


エコキュートの仕組みやメリット・デメリットなどの基本をご紹介しました。

今回の記事のポイントまとめ 
  • エコキュート=空気の熱を利用して効率よくお湯をつくる省エネ型給湯器
  • 光熱費を抑えやすい一方で、容量選びや設置条件には注意が必要
  • 大切なのは性能よりも「生活スタイルに合うかどうか」

エコキュートは、選び方ひとつで電気代の下がり方や使い勝手が大きく変わります。

メリットだけに注目すると魅力的ですが、仕組みや設置条件などを理解せずに選ぶと、使いにくさを感じることもあります。

「うちの場合はどれくらい安くなる?」「この設置スペースで本当に置ける?」といった疑問があれば、無理に自己判断せず、専門スタッフに確認するのがおすすめです。

エコキュート交換のご相談はCoolsまで

Coolsでは、経験豊富な専任スタッフが、ご家庭の人数やお湯の使い方・設置環境を踏まえたうえで、ご家庭に最適な容量・機種をご提案しています。

まずは費用感や補助金の対象になるかどうかを知るだけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

Coolsの最新の口コミをチェック

\ 実際の施工事例はコチラから /

長谷川 きよみ

エコキュート・ガス給湯器専門ライター

長谷川 きよみ

エコキュート専門店スタッフ。住宅設備に関する幅広い知識を持つ。
自宅に設置したエコキュートの実際の使い心地をふまえた、分かりやすい情報をお届けします。
2児の母として、家庭で使いやすい設備選びや、日々の暮らしや家計に寄り添った発信を心がけています。

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